この箇所で、ソロモンは良いことについての説明を続けています。
前の箇所で、ソロモンはこう認めました。「もちろん、人生はそもそも不公平なものです。正しいことをしても、知恵を持っていても、すべてがうまくいくという確信はありません。」
それでも、ソロモンは知恵の利益について主張しました。
最初にソロモンが指摘したのは、たった一つの愚かな行動が、それまで知恵によって築き上げたものをすべて壊してしまう可能性がある、ということです。他人の愚かな行動によって壊れるかもしれません(伝道者の書9:18)。また、自分自身の愚かな行動によって壊れる可能性もあります(10:1)。
そのため、ソロモンは二つのことについて警告をしています。
1つ目は、権威のある人をどのように扱うべきかということです。つまり、もし私たちのミスによって上司が怒った場合、冷静に対応し、謝罪し、そのミスを修正することで、すべてが良くなる可能性があるということです(10:4)。
次に、ソロモンは「上司について何を言うか気をつけなさい」と警告しています。なぜなら、たとえプライベートな場で言ったとしても、どのようにしてか、その言葉が上司に伝わる可能性があるからです(10:20)。
ソロモンは、もう一つのことについて警告しています。それは、怠惰についてです。
ある人は、働きたくないため、さまざまな言い訳をします。
例えば、
「穴を掘ると、私はそこに落ち込むかもしれない。」
また、
「石工の仕事をしたら、石垣から蛇が出てきて、私を噛むかもしれない。」
さらに、
「木を割ると、私はけがをするかもしれない。」(10:8-9)
では、ソロモンの返答は?
「上手に働けるかどうかを心配する必要はない。たとえ悪い道具があっても、成功できる。馬鹿な言い訳をするな。」
けれども、他の人々はこう言います。「それでも、未来に何が起こるか誰も知らない。報いがあるかどうか分からないのに、どうして頑張って働く必要があるのだろうか。しんどいよ。通勤するだけでも大変だ。」(10:14-15)
だから、もう一度、ソロモンは警告しています。
「働かないと、あなたの人生は崩れてしまうよ。今、あなたの人生は楽しいかもしれないけど、何かが必要になった時、お金がなければどうにもならないよ。」(10:18-19)
他の人々はこう尋ねます。「でも、私が成功するかどうか確信できません。例えば、トウモロコシの種を蒔いても、トウモロコシはあまり成長せず、麦の方がよく成長する年になるかもしれない。」
そこで、ソロモンはこう返答します。
「じゃあ、賢く蒔きなさい。すべての状況に備えて準備をしてください。いろいろな種を蒔きなさい。どっちがよく成長するか分からないけど、いろいろな種を蒔けば、きっとどれかがうまく成長するよ。」(11:1-6)
この話を読むと、私はタラントの話を思い出します(マタイ25章14-30)。
賢い人々はそのお金を投資して、最終的に利益を得ました。けれども、一人の愚か者は何もしませんでした。なぜなら、失敗した場合に上司が怒るのを恐れたからです。
もしその人がソロモンのアドバイスに従っていたなら(つまり、怒っている上司の扱い方や、投資を多様化することを学んでいたなら)、おそらくそのお金を投資していたかもしれません。
しかし、彼はそうしなかったため、避けたかった結果が現実となり、上司は本当に怒りました。
あなたはどうでしょうか。神様が与えてくださったものを、十分に活用していますか。神様が与えてくださった才能や資源をきちんと「投資」していますか。それとも、怠惰のために言い訳をしていませんか。
いつか、神様が私たちにこう言ってくださいますように。
よくやった。良い忠実なしもべだ。あなたは、わずかな物に忠実だったから、私はあなたにたくさんの物を任せよう。主人の喜びをともに喜んでくれ。(マタイ25:21)
