4頭の獣の幻の2年後、ダニエルは2頭の獣の幻を見ました。この二つの幻にはいくつかの共通点があります。
この夢の中で、ダニエルは一頭の雄羊を見ました。その雄羊には二本の角がありましたが、一方の角はもう一方よりも長かったのです。ガブリエルによると、その雄羊はメディア・ペルシア帝国を象徴していました。
(以前述べたように、ペルシア(長い角)はメディア(短い角)よりも強かったのです。)
メディア・ペルシャ帝国は非常に強力で、自分たちの思いのままにふるまいました。誰もその帝国を阻止することはできませんでした。
ところが、そこに一頭の雄やぎが現れました。その雄やぎには非常に目立つ一本の角がありました。そして、その雄やぎは雄羊を打ち破り、その角をへし折ったのです。雄やぎは高ぶりましたが、
その強くなったときに、あの大きな角が折れた。そしてその代わりに、天の四方に向かって、著しく目だつ四本の角が生え出た。(ダニエル書8:8)
その雄やぎはアレキサンダー大王を象徴していました。そして、預言通りに、彼が最も強くなった時に死に、四人の将軍たちが支配を始めました。この出来事は最初の幻ですでに示されていました。
けれども、この幻では、より具体的なことが示されます。そして、その事情は将来の出来事を表しています。
その雄やぎの一本の角は小さかったものの、やがて大きくなりました。ダニエルは次のように語っています。
それは大きくなって、天の軍勢に達し、星の軍勢のうちの幾つかを地に落として、これを踏みにじり、軍勢の長にまでのし上がった。
それによって、常供のささげ物は取り上げられ、その聖所の基はくつがえされる。軍勢は渡され、常供のささげ物に代えてそむきの罪がささげられた。
その角は真理を地に投げ捨て、ほしいままにふるまって、それを成し遂げた。(10-12)
その角はアンティオコス4世エピファネスという人物です。彼は、ギリシャ帝国の4分の1(つまり、セレウコスの領土)を取って支配しました。
彼の治世において、彼は2万人の軍隊を送り、エルサレムを攻撃しました。その際、主の宮にゼウスの偶像を立て、神様の祭壇の上で豚を犠牲として捧げました。
(神様の律法によれば、豚は不潔な動物とされているため、その祭壇は汚されました。)
この行動は、「荒らす者のするそむきの罪」と呼ばれるものです。(ダニエル書8:13)
「星」とは、アンティオコスに迫害され、命を奪われたユダヤ人のことです。
そして、ダニエルが預言した通り、アンティオコスは常供のささげ物を取り上げ、真理を地に投げ捨てました。神様の宮はゼウスの宮になったのです。
アンティオコスのプライドゆえに、彼は「私は神だ」と宣言しました。お金には「現れた神」という言葉が刻まれました。
けれども結局、彼は廃されました。ユダス・マカベウスというユダヤ人が反抗を導きました。ユダヤ人たちは最終的に神様の宮を清め、再びその宮を神様に奉献しました。そして、アンティオコスは急病により命を落としました。
ダニエルはこれらの出来事を全て預言していました。
とはいえ、この箇所には、私たちは反キリストの姿を見ることもできます。反キリストはアンティオコスが行ったことを模倣するでしょう。しかし最終的に、神様は反キリストも廃されます。
私たちはここから何を学ぶことができるでしょうか。力は儚いものです。
ペルシャの王たちは自分が強いと思っていましたが、彼らは廃されました。
アレキサンダー大王もそう考えていましたが、彼も廃されました。
アンティオコスも廃されました。
反キリストはサタンの力によって一時的に支配するでしょうが、最終的に彼も廃されます。
おそらく、あなたはこの世を支配しようとは考えていないでしょう。けれども、あなたの人生についてどのように考えているでしょうか。あなたは自分の人生の中心ですか。
周りの人々があなたに仕えるべきだと思っていますか。あなたの目標を果たすために他の人々を踏みにじりますか。また、あなたの心の王座から神様を追い出しますか。
もしそうするなら、あなたはその支配者たちが学んだ教訓を自ら学ぶことになるでしょう。あなたの力は儚いものです。
私たちは喜んで神様に従った方が良いのです。そうしなければ、最終的にあなたの力は取り去られるでしょう。神様に従うと、命を見つけます。しかし、力を握り続けたいのであれば、最終的には死に至ります。
イエス様はこう言われました。
いのちを救おうと思う者はそれを失い、わたしのためにいのちを失う者は、それを見いだすのです。(マタイ16:25)
