この箇所では、本当に劇的なシーンが描かれています。エステルは王に自分の国籍を告白し、ユダヤ人の命を請いました。
おそらく、その時点でエステルの恐れはほとんど消えていたのでしょう。それは、王がエステルに好意を示し、すでに2度こう言っていたからです。
あなたは何を願っているのか。王妃エステル。それを授けてやろう。何を望んでいるのか。王国の半分でも、それをかなえてやろう。(エステル記5:6,7:2)
それでも、彼女は王がまだハマンの計画を支持しているかどうか疑っていたかもしれません。
だからこそ、おそらく彼女が自分の民に迫っている危険について伝えた時、王の反応を聞いてほっとしたのでしょう。王は怒りながらこう言いました。
そんなことをあえてしようとたくらんでいる者は、いったいだれか。どこにいるのか。(7:5)
エステルがハマンの名前を口にした時、彼はショックを受けました。そして、突然彼は理解しました。「エステル女王はユダヤ人だ。」
王もそのことをすぐに理解しました。怒った王は、気持ちを落ち着けるために宮殿の園へと出て行きました。
その間に、ハマンは自分の命が危険にさらされているのを察し、エステルに近づいて命乞いをしようとしました。
けれども、エステルはハマンの意図を誤解した可能性があります。なぜなら、彼はユダヤ人の敵だったからです。それに、ペルシャの慣習では、男性が7歩以内に女王へ近づくことは禁じられていました。それでも、ハマンはエステルのすぐそばまで来ました。
ちょうどその瞬間、王が部屋に戻り、王もハマンの意図を誤解しました。おそらく、エステルの恐怖に満ちた表情を見た王は、激怒してこう叫びました。
私の前で、この家の中で、王妃に乱暴しようとするのか。(7:8)
その時、王のしもべの一人が王に申し上げました。
ちょうど、王に良い知らせを告げたモルデカイのために、ハマンが用意した高さ五十キュビトの柱がハマンの家に立っています。(7:9)
それを聞くと、王は答えました。
彼をそれにかけよ。(7:9)
その後、エステルはモルデカイを王のもとに連れて行き、王はモルデカイにハマンの立場を与えました。
エステルは再びユダヤ人の命を請いました。しかし、王はその律法を取り消すことはできませんでした。(たとえ王であっても、ペルシャの律法に従うべきでした。)
そこで王はエステルとモルデカイに新しい律法を作る許可を与えました。つまり、ユダヤ人には自衛する権利が与えられたのです。
ある学者は、その命令を日本語に翻訳しました。
つまり、
その中で王は、どこの町にいるユダヤ人にも、自分たちのいのちを守るために集まって、彼らを襲う民や州の軍隊を、子どもも女たちも含めて残らず根絶やしにし、殺害し、滅ぼすことを許し、また、彼らの家財をかすめ奪うことも許した。(8:11)
それが正しい翻訳なら、その意味は、「ユダヤ人を襲う子供と女たちがいたら、彼らも殺されます」ということです。
しかし、おそらくその意味は、
その中で王は、どこの町にいるユダヤ人にも、自分たちのいのちを守るために集まって、彼ら(子どもも女たちも含めて)を襲う民や州の軍隊を残らず根絶やしにし、殺害し、滅ぼすことを許し、また、彼らの家財をかすめ奪うことも許した。
そのように書かれた英語の翻訳もあります。
その律法によって、ユダヤ人は彼らを襲う者の家財をかすめ奪うことも許されましたが、おそらく、敵がユダヤ人を襲わないように、その部分が記載されていたのでしょう。実際、ユダヤ人はそのことをしませんでした。(9:16)
ある人々は、ハマンの息子たちを柱にかけるエステルの願いを批判します。(9:13)けれども、実際には、その息子たちはユダヤ人を攻撃し、その時に彼らは殺されました。(9:5-10)
ですから、その死体が柱にかけられたのは、ユダヤ人の敵に警告するためでした。
私たちはこの話から何を学ぶことができるでしょうか。
一つ目は、王が立ち上がってエステルとその民を守ったように、神様も立ち上がって私たちを守るということです。
サタンが私たちを滅ぼそうとする時、神様は私たちを見捨てません。むしろ、神様は私たちのために戦い、その敵を倒されます。それは私たちに対する神様の愛です。
二つ目は、王がユダヤ人の味方であったものの、ユダヤ人はそれでも戦わなければならなかったことです。
同様に、神様が私たちの味方ですが、私たちにも霊的な戦いがあります。そのため、毎日私たちは霊的な鎧を身につけなければなりません。(エペソ6:10-18)
ですから、攻撃されても勇気を持ってください。神様は私たちと共におられます。もうすぐクリスマスです。そして、イエス様の名前はインマヌエルです。つまり、「神様は私たちと共におられる」という意味です。
だから、神様の鎧を身につけ、信仰の戦いを勇敢に戦いましょう。(第一テモテ6:12)
イエス様の働きによって、私たちはすでに勝利したことを常に覚えておきましょう。