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ルカの福音書 ルカ12章

福音の炎

炎は時に恐ろしいものです。特に森林火災は危険であり、一瞬にして広がり、大規模な被害を引き起こします。それでも、その一方で、炎は森林にとって良い影響をもたらすこともあります。

炎は地面に積もった落ち葉や折れた枝を燃やし、その結果、土壌が日光を受けて活性化し、栄養が供給されます。

また、下生えが焼かれることで、周囲の木々は土壌の栄養をより多く吸収できるようになり、さらに強く成長します。

それに加え、炎は木々に害を及ぼす虫を駆除する働きもあります。

要するに、炎は森林を清め、新たな命をもたらすことができるのです。

そして、イエス様は弟子たちにこう言われました。

わたしが来たのは、地に火を投げ込むためです。だから、その火が燃えていたらと、どんなに願っていることでしょう。(ルカの福音書12:49)

その火とは何でしょうか。聖書学者たちの間にはさまざまな意見がありますが、私はその火が福音であると考えます。

では、イエス様はどのようにしてその火をともされたのでしょうか。

そして、イエス様はこう言われました。

しかし、わたしには受けるバプテスマがあります。それが成し遂げられるまでは、どんなに苦しむことでしょう。(50)

この話において、「バプテスマ」という言葉は、イエス様の死を指しています。別の場面で、イエス様はヤコブとヨハネにこの「バプテスマ」について語られました。(マルコ10:38)

イエス様が十字架で死なれ、よみがえられた後、福音の火がともされました。そして森林火災のように、その火は広がり、人々の魂を清め、永遠の命をもたらしました。彼らの罪は赦され、神様との関係は回復されたのです。

とはいえ、火は時に痛みの原因ともなります。だから、イエス様は弟子たちにもう一度警告を与えられました。

あなたがたは、地に平和を与えるためにわたしが来たと思っているのですか。そうではありません。あなたがたに言いますが、むしろ、分裂です。

今から、一家五人は、三人がふたりに、ふたりが三人に対抗して分かれるようになります。父は息子に、息子は父に対抗し、母は娘に、娘は母に対抗し、しゅうとめは嫁に、嫁はしゅうとめに対抗して分かれるようになります。(51-53)

魂を清める炎に触れることは痛みを伴います。そのため、多くの人はその痛みを経験したくないと考えます。

福音を聞いたとき、彼らの良心はその火によって軽いやけどを負い、ためらいを覚えます。その火による清めを望まないがゆえに、彼らはその火から逃げてしまうのです。

または、その火をもたらす人と争い、時には自分の家族とさえ対立することもあります。

この個所では、イエス様はこのことについて語られています。

けれども、私たちが福音のために家族や友人から拒絶され、苦しむとき、イエス様が十字架の上でさらに大きな苦しみを経験されたことを思い起こしてください。

だから、へブル人への手紙の著者はこう記しています。

あなたがたは、罪人たちのこのような反抗を忍ばれた方のことを考えなさい。それは、あなたがたの心が元気を失い、疲れ果ててしまわないためです。(へブル12:3)

だからこそ、福音の炎を携えましょう。そうすれば、その火が周りの人々に触れ、彼らを清め、新しい命をもたらします。