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将来を現すしるし

前回の記事では、この箇所が非常に難解であると述べました。その理由の一つは、マタイ、マルコ、そしてルカが同じ話を伝えているものの、それらを統合するのが難しいという点です。

イエス様が神殿が破壊されると言われた際、弟子たちは大変な衝撃を受け、いつそのことが起こるのかを尋ねました。また、世の終わりのしるしがどのようなものなのかも尋ねました。

彼らの視点を考えてみてください。

その質問をした時点では、彼らはまだイエス様が十字架にかかり、死を迎え、そして復活しなければならないことを理解していませんでした。

さらに、復活された後にイエス様が天国へ帰られる必要があることについても全く分かっていませんでした。

そのため、彼らがイエス様の到来について尋ねた際、その質問はイエス様が天国から戻って来られる時期を指しているのではありませんでした。おそらく、彼らが意味していたのは、イエス様が自身の王国を築くのはいつなのかということだったのでしょう。

彼らは子供の頃から「主の日」について何度も聞いてきた経験がありました。その日は、主が国々を裁き、イスラエルを再び王国として確立される日とされています。

しかし、イエス様は彼らに、神殿が破壊されることを告げられました。それが起こる前に、確かに「主の日」は来ないでしょう。

加えて、その週の初めにイエス様と弟子たちがエルサレムに到着した際、多くの人々が「ホサナ。祝福あれ、主のみ名によって来られる方に。」と叫びました。

この出来事を踏まえて、弟子たちは非常に混乱していたのです。

とにかく、ルカによれば、イエス様は将来、偽のキリストが現れたり、戦争や様々な災害が起こったりするだろうと言われました。

けれども、それが起こる前に、イエス様は弟子たちに、彼らが迫害され、殺されることもあると警告されました。『使徒の働き』を読めば、そのことを目の当たりにすることができます。

また、彼らが捕まえられた時、イエス様が約束されたように、聖霊様が彼らに何を言うべきかを教えられたので、彼らの敵はその証言に対してどのように反論すべきか分からず困惑しました。

さらに、イエス様は彼らに、「軍隊がエルサレムを包囲するのを見たら、すぐに逃げなさい」と警告されました。エルサレムが破壊され、その住民が捕虜になる日が来るからです。イエス様は、妊娠中の女性たちにとってその日は特に困難でひどい時になると語られました。

西暦70年に、イエス様の預言は成就しました。その時、多くのクリスチャンはイエス様の警告を覚えていて逃げ延びましたが、他のユダヤ人たちはエルサレムに留まりました。彼らはエルサレムが最も安全な場所だと信じていたからです。

ところが、イエス様が言われた通り、彼らは殺されるか、捕虜として連れ去られました。

また、マタイとマルコは「荒らす忌まわしいもの」について言及しています。

ダニエルもその出来事を預言しており、アンティオコス4世エピファネスによってその預言が一度成就しました。彼はゼウスの偶像を神殿に立て、祭壇で豚を捧げました(豚は神様の律法によれば汚れたものとされています)。

西暦70年には、そのような具体的な出来事は起こりませんでしたが、一部の聖書学者たちは、ローマ人たちが神殿に入った際、別の方法で神殿を汚し、それがイエス様の預言の成就だったと考えています。私もその意見に同意します。

イエス様はこれらの出来事に関して、次のように語られました。

それらの日には、神が創造された被造世界のはじめから今に至るまでなかったような、また、今後も決してないような苦難が起こるからです。(マルコ13:19)

最近まで、私はイエス様が西暦70年の出来事について語っておられないと思っていました。なぜなら、反キリストが来るとき、クリスチャンたちはさらに大きな苦しみに直面すると考えていたからです。

けれども、今ではその確信は揺らいでいます。なぜなら、歴史を振り返ると、エルサレムが倒れた際にユダヤ人たちが味わった苦しみは本当に深刻だったからです。

それでも、おそらく2000年前の出来事は将来のしるしだと思います。実際には、その出来事は現代の状況にも関連していると感じます。

今でも私たちは戦争や戦争のうわさを耳にします。飢饉や地震、様々な災害を目の当たりにします。偽のキリストが現れることもあります。そして、クリスチャンに対する迫害が続いているのです。

さらに、イエス様がこの世に戻られるまで、これらの出来事は続くでしょう。しかし、イエス様が戻られると、天に現れて、全世界がイエス様を見るでしょう。その時、イエス様はご自身の民を呼び集められるのです。(マタイ24:30-31)

多くのクリスチャンたちは、反キリストが現れる前にイエス様がご自身の民を召し、彼らが反キリストを決して目撃しないと信じています。

私もそれを信じたいのですが、その考え方は誤りだと思います。

ただし、その考えについて何を信じるにしても、次の一点を覚えていてください。

エルサレムに関するイエス様の預言はすべて成就しました。そして、イエス様のその他の預言も今なお成就しつつあります。ですから、イエス様は必ずこの世に戻られるでしょう。イエス様はそのように約束されたからです。

イエス様は次のように言われました。

天地は消え去ります。しかし、わたしのことばは決して消え去ることがありません。(ルカ21:33)

だから、私たちがどれほどの苦しみを経験しても、私たちの心を整え、希望を持ってイエス様の御再臨を待ち望みましょう。